新型コロナウイルス感染症の感染拡大の時期に、行動制限等により自宅ですごす時間が増えたことから、ペットを飼う方が多くみられるようになりました。その割合は3〜4人に1人まで言われています。みなさんの周りにも、ペットを飼っている人がいるのではないでしょうか?
私たちを癒してくれる、大切なペット。ずっと一緒にいたいかけがえのない存在ですが、いつかは必ずお別れの時がやってきます。大切なペットが亡くなってしまった場合、残された飼い主様にできることは感謝を込めてお別れをすることです。
従来ではペットが亡くなると、庭や墓地に埋葬するのが主流でしたが、最近は家族の一員として人間と同じように供養する飼い主様が増えてきました。
その影響もあり、ペット葬儀会社が急増しました。
今回は皆さんの家族であるペットと、最後のお別れをするためのひとつの手段である、移動火葬についてご紹介していきます。
Contents
移動火葬車とは?
移動火葬車とは、ペット葬儀業者が専用のペット火葬車でご自宅まで訪れて火葬を行なうサービスのことです。
人間の火葬は法律で定められていますが、ペットは「一般廃棄物」とされているため、火葬方法に決まりはありません。
そこで、専用のペット火葬炉を車に搭載した特殊車両でご自宅まで訪問し、現地で火葬を行います。
長い時間を一緒に過ごした自宅で最後のお別れを行いたい方や、家族だけで静かにお見送りをしたい方、近くに火葬ができるペット葬儀場がなくてお困りの方などから人気を集めています。
移動火葬車の特徴
特有の臭いを発生させない
以前は、臭いなどの問題で近隣の方とのトラブルに発展することも多かったペット火葬車ですが、近年開発が進み、臭いが発生しづらい構造になりました。火葬炉メーカーによって多少違いはありますが、臭いや有害物質を出さないためにも火力の強い火葬炉に対応した素材を使用していたり、実際に実証実験を行い、臭いの数値を計測し、安全性を保証しているている会社もあります。
ダイオキシンなどの有害物質を発生させない構造なら、小さなお子様でも安心して参列することができますね。
基本の外観・造り
車体の後部に火葬炉が備え付けてあり、その中に火葬炉が格納されています。
トランクを開けると寝台を出すことができ、火葬をする際は寝台にペットのご遺体を寝かせて火葬炉に納め葬儀を行います。
寝台は滑車式で出し入れが容易に行えるので、スムーズに火葬を行うことができます。
外観に関しても、会社名を一切出していない白かグレーの車であることが多いです。
目立たない外観にしている会社がほとんどですので、安心してご依頼いただけます。
空気の取り込みなど機能に優れている
煙突の開閉を運転席からサイドミラーで確認できたり、小窓を開けることで走行時でも空気の取り込みができたりと、ペット火葬車は機能に優れており、依頼された飼い主様だけでなく、火葬を行うスタッフも的確に業務を行うことができます。
これからペット葬祭業を開業される方、ペット火葬炉の新規購入をご検討中の方お考えの方にもおすすめです。
近隣の方への影響は?
先程もご紹介しましたが、移動火葬車で火葬を行った場合の臭いや有害物質の発生はほとんどありません。
臭いもほとんど出ませんので、知らない方からすると「車が停まっている」としか思わないでしょう。安心してご利用いただけます。
しかし、お住まいの地域が住宅街だった場合、移動火葬車を利用する際には近隣の方への配慮も必要になってきます。
車体自体は目立たないものが多いですが、火葬炉や火葬台は珍しいものですので、周囲の人から注目を浴びる可能性があります。
また、火葬には30分〜1時間ほど時間がかかると言われていますので、その間指定した場所に停車することになります。
深夜・早朝の火葬ですとご迷惑となるケースもあります。
訪問火葬が決まった段階で、近所の方に一言声をかけておくことで、急なトラブルを回避できるでしょう。
移動火葬車で火葬する際の流れ
葬儀会社へ連絡
ペットの訪問火葬を決めた場合は、希望の火葬業者に連絡しましょう。
火葬業者のホームページを確認して、電話での申し込みか、問い合わせフォームからの申し込みか指定された方法で連絡しましょう。
事前に確認しておくと、当日落ち着いて対応することができますよ。
火葬まで日にちが空く場合は、ペットのご遺体を適切に保管しておきましょう。特に夏場はすぐに腐敗をしてしまいます。
ご遺体は体に合った箱などに入れ、頭部やお腹を保冷剤で冷やしてあげましょう。腐敗を進めないためにも体を冷やすことは効果的です。
ペット火葬車が自宅を訪問
申込後、予約した日時でペット火葬業者が訪問します。
ここで料金を支払う場合があります。前払いか後払いかは葬儀会社によって異なりますので、確認しておくとよいでしょう。
後払いの場合は、火葬が全て終わったあとに支払いをします。
後払いの方法では追加料金がかかる可能性があるため、追加オプションや料金の詳細を把握しておきましょう。
セレモニー・火葬
葬儀会社によって火葬前にセレモニーを行える場合もあります。
業者によって追加料金がかかる場合もあれば、簡単なセレモニーがプランに含まれている場合もあります。
セレモニーを行う場合は、火葬炉にペットを乗せた後、献花や少量の食べ物(生前好きだったおやつなど)を一緒に入れてあげてください。
セレモニーについて不明な点がある場合は、ペット葬儀会社に連絡をした際、ペットのご遺体に何かしてあげた方がいいかを相談してみましょう。
入れてはいけないものもありますので、あらかじめ確認しておくと安心です。
火葬はペットの大きさによって時間が前後しますが約30分~1時間ほど要しますので、時間には余裕を持っておきましょう。
お骨上げ・返骨
火葬後に行うのは、ペットの遺骨を拾うお骨上げです。
お骨上げの方法は業者によって異なり、スタッフが行う場合と家族が行う場合があります。
また、お骨上げの方法によって料金が変わるケースもあります。
お骨上げをしたかったのに、確認不足でできなかった…と後悔することのないように、あらかじめプラン内容や料金を確認しておきましょう。
お骨上げが終わると、遺骨は骨壺に納められ家族の元に返されます。この返骨までがペット火葬車が行う一連の流れです。
移動火葬車のメリット
指定する場所で火葬が可能
「よく一緒に遊んだ思い出の公園でお別れをしたい」「自宅で静かにお別れをしたい」など、飼い主様のご希望に添ったお別れができるのが移動火葬車の魅力です。自宅でのペット火葬を希望する場合は、駐車場など火葬車の停車が可能なスペースで行うのが一般的です。
駐車場がない場合は、自宅近くの安全な場所をあらかじめ確保する必要があります。
自家用車がなかったり、亡くなってしまったペットの体が大きくて移動が困難な方にとっては、便利で需要が高いサービスといえます。
時間の融通が利きやすい
一般的な霊園やペット火葬炉は、開園時間が決まっているため、希望日時に火葬を行えないケースがあります。
その点、移動火葬車は24時間対応の会社がほとんどですので、時間の融通が利きやすいのが魅力です。
訪問する時間を選べ、家族揃ってお見送りすることもできます。
日中は仕事で夜しか家にいないという人や、介護・子育てで時間調整が困難な人にとって便利なサービスといえます。
ペットの移動(出張)火葬の注意点
近年多くの需要を集めているペット火葬車ですが、その反面、後になってから高額請求をしたり、質の悪い火葬炉でいい加減な火葬を行ってご遺骨が真っ黒焦げになったりとタチの悪い悪徳業者が増えているのも現実です。
そのため、飼い主様が気持ちよくお見送りがきるように、きちんとしたペット葬儀会社を選ぶことが大切になってきます。
会社の所在地はあるか?ホームページはあるか?料金などの記載があるか?など、ご希望に合った方法で供養ができるペット葬儀会社を選んでください。
ここまで移動葬儀車についてご説明してきました。
ペットとのお別れは、突然訪れるものです。
万が一の際に落ち着いて対応できるように、事前にペット葬儀会社を確認しておくとよいでしょう。